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【あらすじ・感想】映画『そして父になる』の意味とは?親子の形を考えさせられる映画

映画『そして父になる』。

是枝裕和監督による作品です。先日『万引き家族』を見て印象深かったので、この作品を見ました。

2013年の映画で、主演は福山雅治。

「6年間育てた息子は、他人の子でした。」というキャッチコピー。

一つ言うと、泣けます。

映画『そして父になる』

映画『そして父になる』

監督:是枝裕和

ジャンル:ドラマ・ヒューマン

オススメ度:★★★★☆/★4

9

ストーリー

7

おもしろさ

7

感動

9

テーマ性

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映画『そして父になる』あらすじ・概要

大手建設会社に勤め、都心の高級マンションで妻と息子と暮らす野々村良多(福山雅治)。ある日、産院からの電話で、6歳になる息子が取り違えられた他人の息子だと判明する。妻のみどり(尾野真千子)は気づかなかった自分を責め、一方良多は、優しすぎる息子に抱いていた不満の意味を知る。良多は、相手方の家族と戸惑いながらも交流を始めるが、群馬で小さな電気店を営む斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木ようこ)夫婦の粗野な言動が気に入らない。過去取り違え事件では100%血のつながりをとるというが、息子に一心な愛情を注いできたみどりと、温かでにぎやかな家族を築いてきた斎木夫婦は、育てた子を手放すことに苦しむ。早いほうがいいという良多の意見で、ついに”交換”が決まるが、そこから、良多の本当の”父”としての葛藤が始まる―。(C)2013「そして父になる」制作委員会

Amazon Prime Videoより

監督:是枝裕和

是枝監督のほか作品『海街diary』などでもそうですが、人の心の動きを色濃く描いています。

多くの人が、正直良多にイライラすることも多いでしょう。笑

子どもが生まれたからって父親になるわけじゃない。

「お父さん」と呼ばれているからって、父親じゃない。

自覚してはじめて父親になる。

この映画を見て、私はそう感じました。

登場人物(※以下ネタバレあり!)

野々村良多(福山雅治)

大手建設会社に勤め、都心の高級マンションに住む主人公。

6年間育てた息子・慶多は、優しくて素直だがマイペース。

ある程度の愛情は持っているようだが、エリート気質とは言えない慶多にイライラしている場面もちらほら。

慶多が取り違えられていたことが発覚し、「やっぱりそういうことか。」と言ってみたり、「なんでわかんなかったんだ。」と妻・みどりを責めたり。

基本他責で、息子にも自分のようにエリートであることを望んでいたり、物事を自分の思う通りに進めようとしたりと、自己愛が強そうに見える。

6年育てた慶多が自分の息子じゃないとわかっても、実子・琉晴と交換するときも、ラスト近くまで一度も涙を流すことはない。

しかし、慶多と琉晴を交換し、琉晴を育てるようになったところから、良多の考えを変える出来事が。

  • 良多が取り違え事件犯人の看護師を責めようとしたとき、連れ子が「俺のお母さんだ」と庇う
  • 人工の林に、別の場所からセミがきて成虫となるまで15年かかった話を聞く

このあたりから、子どもへの考え方が変わりはじめる。

琉晴とも関わりだし、みどりの慶多に対する気持ちにも寄り添えるように。

そんなときにカメラのメモリをふと見ると、慶多が自分を撮った写真を何枚も見つける。

慶多が自分をいつも見ていたことや、本当は一緒にいたかったという気持ちに初めて気づくと同時に、大切さを思い知り、初めて良多に涙が。

すぐに慶多を迎えに行くが、良多から逃げ出してしまう。

そこで、「できそこないだけど、パパだったんだよ。」などの思いを慶多に告げ、いかに大切な存在であるのかを打ち明け、やっとわかり合うことができた。

野々村みどり(尾野真千子)

良多の妻で、慶多を6年間愛情をかけて育ててきた。

慶多が実子じゃないことを知った後は戸惑い苦しむ。

良多のことを立ててはいるが、慶多への愛情のない一言や、慶多を手放すことになったことには強い怒りを見せる一面も。

慶多への思いを吐露するシーンには、思わず涙が…。

過去の大ヒットドラマ『mother』の育児放棄・虐待をしている姿とは正反対の役ですね。笑

「絶対に慶多を離したくない。でも琉晴のこともきちんと大切にしなければいけない。」2人の子どもに対する愛が素晴らしかったです。

愛情をかけて育ててきた慶多にはもちろん、血の繋がりのある琉晴にも戸惑いつつも愛情を持って接する姿が印象的でした。

斎木雄大(リリー・フランキー)

慶多の実の父親。

琉晴を6年間実子として育てる。

群馬の小さくて古い街の電気屋をしており、収入はあまりないようだが、家族や子どもに対する愛情や手間をしっかりとかける。

産院からの賠償金の額を気にしたりはするが、家族や子どもたちのことは真剣に愛している。

良多とは対照的ともいえる性格。

「一緒に凧あげ、してあげてくれよ。」と良多に話すシーンは最高に素敵でした。

『万引き家族』のときは、優しくはあるものの面倒なことから逃げる人物役でしたが、今回は何事にもきちんと向き合う父親役。

斎木ゆかり(真木よう子)

雄大の妻で、慶多の実の母親。

口は悪いが、子どもたちのことを愛し、斎木家に来て悲しげにしている慶多の気持ちも敏感に捉えて優しく包み込む。

ドラマ・映画『SP』『MOZU』ではパリッとした刑事役の印象が強かったのですが、母親役もハマっていましたね!

映画『そして父になる』の感想

本当の父親とはなんなのか?を問いかけているように感じた

良多は6年育てた慶多と、血の繋がりのある琉晴を交換しますが、そこではじめて慶多の大切さを思い知ります。

慶多を6年間育てましたが、良多が自分で言うように「できそこないの父親」でした。

家庭を顧みずに仕事に没頭して、子どものできていない部分に着目して不機嫌になる姿に腹が立つ人も多いのでは?笑

確かにお金をかけて育てることや、遺伝子的には父親の役割を果たしていましたが、子どもにとって父親とはそれだけの存在ではありません。

慶多が逃げ、良多が追いかけるシーンでは、慶多が段差の上の道を歩いて、良多が下の道から語りかけます。

高さを利用することで、良多が慶多と同じ目線に立てるようになったということを表したかったのではないかと感じました。

  1. 良多は今まで、慶多の大切さがわからず、同じ目線に立とうとしていなかった。
  2. しかし、慶多の気持ちを知ることで、慶多の大切さを思い知った。
  3. やっと同じ目線で、子どもを愛することができるようになった。
  4. そして、本当の父親になる。

これが『そして父になる』のタイトルの意味なのではないかと思いました。

映画のラスト、慶多が「スパイダーマンて蜘蛛だって知ってた?」と聞き、良多が「ううん、初めて知った」と答えるシーンがあります。

「スパイダーマン=クモ」って、めちゃめちゃ有名ですよね。スパイダーって入ってるし。笑

でもあえて「初めて知った」というセリフにすることで、「本当の父親とは?」を問いかけられているように感じました。

  • 遺伝子的に父親だからといって、父親ではない。
  • 単に一緒に生活をしたからといって父親ではない。

そのことを表した一言なのではないかと思いました。

子どもへの愛に思わず涙が…

取り違えられていることを知ったみどりは、動揺したり、涙を流したりします。

是枝監督の映画では、劇中音楽が少なめだと思うのですが、それだけに静かにみどりの思いが伝わってきました。

中でも電車内で「2人でどっかに行っちゃおうか」と話したり、ひっそりと慶多の荷物を準備している姿や、「琉晴が可愛く見えてきて、慶多を裏切っているように感じる」と話すシーンには思わず涙が…。

慶多は「行きたくない。一緒にいたい。」などの思いを伝えませんでした。

母親であるみどりは、もちろんそんな慶多にも気付いていたし、その思いを感じていたのでしょう。

そして、琉晴をかわいいと思うことに罪悪感を感じてしまう…。

時間と愛情をかけて育ててきた母の愛情に、心を打たれました。

そんな簡単に物事をひっくり返していいの?

良多は慶多に、斎木家に住むことを「期限のないミッションだ」と説明します。

良多以外の全員が、血の繋がりを選ぶのか、これまでの生活を選ぶのかを非常に悩みます。

しかし良多は「慶多も琉晴もどっちも引き取る」と話し「琉晴はとりあえず引き取って考えてみれば良いだろう」など、あくまで自分勝手です。

そういう自分勝手な人物というのはわかるのですが、自分の思い一つで「ミッションはおわりだ」とまた交換をほのめかすのはどうだろう。

映画のラストでは、厳密に慶多と元通り暮らすことになったというのは描かれていないので、週末に会うようにするとか、そういう感じかもしれませんが…

もう互いの家族に会わないという話しだったのに、自分の思いひとつで変えるなんて、辛い思いで決断したみどりと斎木夫婦には願ってもない展開ですが、「良多1人でいろんな事を勝手に決めすぎなのでは?」というふうに思ってしまいました。

しかし、色々と決めつけてしまうのは、良多が父の後妻を「母」として見ることができなかった過去を持っていたゆえかもしれませんね。

また良多の父からは「子どもは、どんどん血の繋がりのある父親に似てくる」という話しをされます。

序盤でも良多は父に憧れているという話しがあることからも、父の言葉に大きく影響を受けてしまったからかもしれません。

映画『そして父になる』感想のまとめ

昔は頻繁にあったという新生児の取り違え問題。その子達の親は、どんな思いで過ごさなければいけないのか?という問題と、父性の2つが問題提起されている映画です。

母親はお腹に子どもが宿って10ヶ月間の間に母性が育つと言われていますが、父性はどのタイミングで育つのか微妙なのかもしれませんね。

良多は子どもの取り違え問題によって、子どもの大切さを知り、父性が育ちました。

新生児の取り違え問題は起こってはいけない事件ですが、対照的な父親2人の人物を見て、非常に考えさせられる内容でした。

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是枝裕和監督の映画『万引き家族』も先日感想を書いています。

リリー・フランキーさんが同様に父親役として出演されていますが、根深い社会問題がテーマとなっています。

安藤サクラさんの演技がすばらしく、色々と考えさせられる内容でした。

『そして父になる』で是枝監督に興味を持たれた方は、見ていて損のない映画だと思います。

興味のある方は、一度のぞいてみてくださいね~。

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あんさや
元ナース。実務7年後に退職の後、現在はWebライターとして活動中。夫、娘、息子、犬(りっちさん)との5人家族。小学3年生の娘とともに、プログラミング学習実践中!